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『SMセレクト』 1972年8月号 1.「廃村の海」
2010/03/02(Tue)
中学一年の時、同級生から処分に困った『セレクト』というポケット版のポルノ雑誌を譲ってもらったことがあり、その中の記事の一つに「女王様と奴隷」のパーティへの潜入記がありました。

その潜入記の中で私が覚えているのは、「パーティが佳境に入ると女王様が奴隷の体に向けて急に放尿を始めて、主催者が慌ててビニールのシートをその下に敷いたり、鞭で叩く女王様に対して「痛い、そこは痛いんです」と奴隷が訴えると、女王様が「奴隷が文句なんか言えるの?」と言ったりする光景が展開された」というくだりで、とても印象に残っています。

1971年のことですからS女性とM男性のパーティが日本でもすでに40年近くも前からあったということになります。
でも13歳の私は、まだSMという言葉は知りませんでした。

そして、その中学二年の夏休みに入ったばかりの頃、地元の小さな書店で、やはりポケット版の『SMセレクト』(東京三世社)という雑誌を見つけました。
それが成人向けの雑誌であることはわかりましたが、レジがすぐ近くにあったので中身を覗いてみることは憚られました。
表紙のイラストは、上半身裸の女性の胸に大きな蜘蛛がへばりついている様子を描いたものでした。

SMセレクト1972年8月表紙

前の年に同級生からもらったポルノ雑誌と判型が同じで、やはり「セレクト」という語が雑誌名の中に入っていましたので、出版社が同じかどうかはわかりませんでしたが、その雑誌があの「女王様と奴隷」ということに関係があるのではないかということを直感で感じました。
また、普通のポルノ雑誌の表紙とは異なった、グロテスクではあっても独特な優雅さのある表紙のイラストに心を惹かれたということもありました。

それで意を決して、心臓を激しくドキドキさせながらその『SMセレクト』をレジに持って行き、仏頂面をして店員さんに有無を言わせないような態度でさっさと買い、逃げるように自転車に乗って家路につきました。

ただ雑誌の中身がとても気になって、 途中でどうしても中を見てみたくなりました。
自転車で走っていても、事故を起こしてしまうのではないかと思うくらい気もそぞろで、一刻も早く雑誌の中身を確認したかったのです。

そこで、町と自宅の中間ぐらいにあった、工場の跡地の雑草の茂った草むらの中に自転車を止めて、自転車の荷台のバッグから雑誌を取り出し、草むらの上に座り込みました。
その空き地の近くには住宅や鉄道の線路がありましたが、草むらの中に座っていると、ちょっと見ただけでは人の姿がわからないくらい、背の高い草がぼうぼうと生えていたのです。

そして、震える手で雑誌に掛けられた書店のカバーの上から留められた輪ゴムを外し、雑誌を開いてみました。

巻頭のカラーのグラビアは「廃村の海」という題で、最初のページの写真は、海辺の廃屋の中で橙色のビキニの水着を身に付けた20代の女性が麻縄で後ろ手に縛られて、砂の上に横すわりに座っている姿を写したものでした。
彼女は由美かおるのような茶色いショートカットの髪で、うつろな目が印象的でした。

その時、なぜか「どうしてこの女の人は縛られているのだろう」とは思わなかったと思います。
雰囲気的に、彼女が縛られていることが当然のことのように感じられたのです。

その後のほうのページを見てみると、女性の着ていた水着が剥ぎ取られていって、立った姿勢で全裸で後ろ手に縛られて、縄の先が天井に掛けられて吊るされていたり、やはり全裸で座った姿勢で柱に後ろ手に縛り付けられている写真などが、全てカラーで載っていました。

家に帰ってから雑誌全体を見てみて、それがどういう性質の雑誌かを理解し、また記事を読んでみて、SMという語がサディズムとマゾヒズムの略語であることがわかりましたので、サディズムとマゾヒズムの意味を百科事典で調べてみて、「そうだったのか」と納得したことを覚えています。
そして、自分もそういう世界の一員である可能性が高いのだろうと思いました。

(続く)

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